天中殺について

占いブームはそれを生業とするありがたいものですが、世の中には間違った占いの使い方が多すぎるように感じています。そのひとつが「天中殺」と「大殺界」です。
脅せばお金になるという占いの典型です。これを信じている占い師が多いのもマズイことです。
ご存知のとおり「天中殺」は四柱推命でいう「空亡」のことです。
日本では西川満氏の「天中殺」(1972)、和泉宗章氏の「天中殺入門」(1978?)から天中殺ブームが起き、現在まで勢いを増しながら続いています。
四柱推命を知っている人には、「天中殺」は珍しくないものであり、ブームが作られるまでは重視されていませんでした。流行が起きたとき「何故、空亡だけが 独り歩きしているのか、空亡ってそんな内容だったか?オレも空亡を前に出して本を書いておけばよかった」というのが当時の状況です。
和泉氏たちの算命学では、四柱推命の中では関心を持たれていなかった「空亡」を運気に応用するということにし、「天中殺」として売り出し、日本ではヒットしました。
繰り返しますが、脅せばお金になる世界であり、同じく1970年頃を境として「厄年」や「水子供養」という言葉が出ています。1970年以前に「厄年」の本は出ていません。
ヒットすること、有名になりたい、売り出したい側に乗せられた、一般の人々の不幸の事例が「天中殺」「厄年」「水子供養」といってもいいでしょう。
中国の四柱推命では「空亡」を問題にしていませんし、日本の四柱推命でよく出てくる「桃花殺」も出てきません。四柱推命の経典に、もともと記載がないものです。
ここで検証してみますが、人生が100とすると「天中殺」に該当する期間がどれだけあると思いますか?
約42%です。人生の半分は不幸ということです。なんというバカらしい主張でしょう。驚くのはこれだけではありません。「大殺界」では人生の約60%が該当します。
これに厄年は9年に1度ですが、前厄と後厄を加えると9年のうち3年、つまり人生3分の1は厄年です。
ということは、占い師、悪いことはすべて当てることができます。こんな世界で一般の皆さんは右往左往しているのですよ。
人を幸せにするものが占いであるはずなのに、多くの占い師は「このときにいいことあったでしょ?」と聞かず「悪いことがあったでしょ?」と聞きませんか?
悪いことを当てる数字のバックアップがあるからです。
大切なのは、あなたを元気にしてくれる占いですよ。
根拠のない言葉に左右されるのはやめませんか?
それより、どのように生きていくのか「立命」が大切です。
本来、占いは「立命」のためのアドバイスをするものであり、その「命」に良い「運」と「人」が寄ってくるための「ワザ」だと私は考えています。