人を動かす

前回は、人に物を頼んで相手を持ち上げるというお話をしました。
相手の感情に配慮するということなのですが、今回は「ブーメラン効果」についてです。

人間は感情の動物です。
人を説得する場合は、この当たり前のことを思い出す必要があります。
「理屈ではわかっている。しかし、感情的に納得できない」とは、よく聞くフレーズではないでしょうか。
それは説得のやり方が、ちょいとマズかったわけです。

高圧的な言い方は説得に影響を与えるという、多くの心理学実験があります。
「こうすべきである」というのと「こんなやり方もあるけどどう思うか」を比較してみたというのです。この関係の実験と論文は多いそうです。大したものですな、欧米は。
実験の結果、説得の中味は同じでも、高圧的な言い方をされた人たちは、自分の態度を変えなかった。これはわかります。
ところが最初から説得される方向にいた人たちでさえ、高圧的な言い方をされると説得の反対意見になっていたのです。
向こうに行きかけていた意見が戻ってきてしまうことから「ブーメラン効果」と呼ばれるようになりました。
実際は「戻る」より硬化するわけだから別の表現がいいかもしれませんね。

人間はヘソを曲げるものです。
あなたの周りにも・・私もそうです。
そろそろ勉強を始めようかと思っていたときに「勉強せぇ」と言われると、やる気がなくなるでしょ。誰もがプライドを持っています。
自分のことは自分で決めたいと思っています。
ところが、高圧的な言い方は「自分の否定」に感じるわけです。

高圧的な言い方を改めると、驚きのウレシイ方向に向きます。
ここで注意すべきは、自分のポジションなのです。
自分が相手より上にいる場合は注意です。
たとえば部下に対する上司。子供に対する教師や親。患者に対する看護士や医師。
まず命令調は避けること。
「こうしたほうがいい」という勧告調。
「こんなやり方もある」という助言調。
「こんなやり方はどうだろうか」という提案調。
プラス表現もいいでしょう。して欲しいことを言うのです。

「遅刻しちゃダメだ」は「早めに行ったほうがいい」
「失敗は許されない」は「成功させるぞ」
相手に自分で決めたと思わせる言い換えは「あなただったらどう思う?」「君ならどちらを選ぶ?私としてはA案がいいように感じるけれど・・」こんな感じでしょうか。
命令調を改め、プラス表現を心がけ、相手に自分で選んだと思わせる。
こりゃ面倒ですわ。
だけど、その面倒なことをしないと感情を持った人間を説得できないのです。