育てること、木配り

「育てる」ことが占いの本分ですが、人に対する影響力、人を育てることについて語りたいと思います。

大人、人を教える立場の人、教職の方に必要なのは、「個性を見抜く」ことなのです。
江戸時代の熊本藩主 細川重賢(ほそかわしげたか)は、「財政難のときこそ、教育が大切である」と言いました。日本でも有数の? 貧乏大名が学校を作ったのです。
「時習館」(じしゅうかん)と命名しました。これは論語にある「時に学んでこれを習う、またよろこばしからずや」という文章から名づけられました。
細川は、ここの教師に次のようにお願いしたのです。

「先生、人づくりは木づくりだと思ってください。そのためには、子供に木くばりを大切にしてください。一人ひとりの子供を、それぞれの苗木に見立ててくだ さい。この子はスギ、この子はヒノキ、この子はマツ、あるいはこの子はクヌギ。いろいろな子供の性格や能力は違っています。それを十把ひとからげで教育す ることは間違いです。木くばりをすれば、木の種類が異なるように、肥料の与え方や育て方も、みんな違うはずです。どうか、一本一本の木に応じた育て方をお 願いします」

この基本を知り、仕事に活かしてみたいと思いませんか。

時代の変化に対応しなくてはなりません。
大相撲の上位陣はほとんどが外国人力士です。グローバリゼーションの見本を日本の国技がしているわけです。野球にしてもこの3年は苫小牧をはじめ、日本一になった日ハムと北海道が野球王国となりました。誰が予想したことでしょう。
大きなことも小さなことも、私たちはこれまでに経験したことのない流れの中にいます。
人を育てるという「コーチング」もまだ20年の歴史くらいのものです。
指導者に求められる尺度というのは変化がありません。それは、「やる気を出させる」、
「技術・体力をつけさせる」、そして「戦力化」することです。
しかし、やる気にさせる方法・手法が変化しました。

私の時代、仕事は盗むものでした。マニュアルという存在がありませんでした。
スポーツであれば先輩は怒鳴る存在であり、それが当たり前でした。怒られたことに対して「なにくそ」と思い、反発と自分を成長させる力に変えていきました。そうせざるを得ない時代でもありました。この時代の人たちが現在、上司・教師になっています。
「こら、ボケ、やめてしまえ」と怒鳴られてもやめるはずがなかった時代の人です。
現代では怒鳴ると戻ってきません。
「なにくそ」と思わない時代になっていることを知りましょう。
昔は突き放すことで人が育ちましたが、現代では「たぐりよせ」というワザが求められるのです。
面倒くさいと思う人は上司失格です。
なぜなら、企業にしてもスポーツにしても、部下を戦力化しなければならないことに違いはないからであり、自分のやり方に固執していても意味がありません。
怒って、効果のあることと、ないことがあるのです。
その点において、去年にロッテ、今年の日ハムと監督は外国の方です。
ここに共通点があります。
日本人のコーチや監督は、ミスを指摘します。短所を改善しろというのです。
ところが、外国のコーチ・監督は良いところを指摘し、ミスを怖れるなと言います。
昔の日本の風土では、ミスに対する恐怖が先立ち、挑戦をしたくなくなります。
自分は失敗したくないので、手を上げなくなります。
外国の指導は、挑戦的なミスは良いことだと明言します。
外国のコーチが怒るのは、やれることをやらなかったとき、出来ることから逃げたときです。

たとえば、少年野球でバッターがいて三振しました。
「なぜ打てなかったんだ、今度打てなかったらグランド10周走れ」と監督から言われた選手はどのように考えるでしょうか。
まず、次の打席が来ることに気持ちが重たくなります。打てなかったときのことを考えるからであり、走らなくてよいことを考えます。
そう、自分に打席が廻らないことを祈るようになるのです。
味方がヒットを打たないようにと思うのです。

次に「惜しかったな。見ていたらバットとボールはあと1センチくらいだったぞ。タイミングは完璧だった」と言われた少年はどのように考えるでしょうか。
次の打席が早く廻ってこないかなと考え、チームのみんながたくさん塁に出るように応援するようになるのです。

コーチのひと言で、個人はおろかチーム全体のムードが変わるというこどす。

「個」のスキルアップが必要です。
「個」がいるからチームになります。だから技術を高める指導をし、「戦略」を考えて課題を課して、最後に「気合」となります。
「気合」はすべてが揃った最後にあるべきであり、この順番を間違えてはいけないのです。

早稲田実業の斉藤投手とボクシングの亀田くんがいます。
上司から使いやすいのはどちらでしょう。考えることもありません。
しかし、チームとしては、両方の選手がいないと勝てないのです。

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